庭と部屋、人と人をつなぐ「縁側」
2013-09-18
建材や部材が工業化されて、プレハブ住宅が生まれる前の家には、
たいてい縁側がありました。
庭に面した和室の外側につくられた、板敷きのスペースです。
雨戸やガラス戸で仕切られ、廊下の役割を兼ねた縁側と、
外部にはみ出した濡れ縁。
廊下の幅が3尺(約910ミリ)を越えるものは広縁と呼ばれていました。
広縁ほどの大きさともなると、小さいテーブルなども置くことができます。
そんな縁側も、洋風住宅が増えてくるにつれてめっきりと少なくなりましたが、
最近ではウッドデッキやテラス、それに合わせたオーニング(可動式テント)を
付けた戸建住宅が増えてきています。
これこそまさに現代の縁側と言えるでしょう。
では、なぜ最近になって縁側のある住宅が増えてきたのでしょうか?
それは、縁側の効果を見直したことで、
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・夏の暑い日差しが直接部屋に入らないため快適である
・冬は日差しによって、サンルームのように暖かい空間になる
・雨や風も部屋に入らないため、住まいが長持ちする
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というように、家づくりでとても大切な役割をしているということが分かったためです。
そもそも縁側というのは、昔武士が登城した折の詰所であり、
御目見人の披露に使われた場所でした。
つまり縁側とは、人と人のご縁をつくる場所、ご縁を深める場所だったのです。
昭和初期などを舞台にしたドラマやアニメなどで、
お隣同士がそれぞれの家の縁側から世間話をするシーンを見たことがありませんか?
庭と部屋、屋外と屋内をつなぐ縁側は、部屋から部屋に移動する廊下としても使われていましたし、
部屋と部屋、庭と部屋、内と外、人と人、人と自然をつなぐものとして、
みんなに愛されてきました。
これからの住まいづくりでは、街並み、外構、
庭と住まいのトータルコーディネートで、
敷地全体を上手に活用することが、お得な家づくりに直結するといえます。
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